Introducing Network Planet Ensemble

  • 概要

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     ネットワークプラネットアンサンブルは、Johannes Kepler(ヨハネス・ケプラー)の「惑星の音楽」を元にした水星から土星までの6つの惑星のアンサンブルを、仮想三次元空間上で共有体験できるインタラクティブなマルチユーザー・ワールドです。
     インターネットを介して、この世界に入ってきた人々は、自ら遊星に変身し、ケプラーの「惑星の音楽」を聞きながら、自由に移動し、それぞれに割り振られた音階を奏でます。ときには、他のユーザが変身している遊星(アバタ)に出会うかもしれません。そのとき、お互いに名前さえも知らない人々は、太陽系の惑星の一員となって、予期せぬアンサンブルを形成するのです。
     ケプラーは、「宇宙の調和」を証明するために、宇宙の構造を音階に適応させようと試みましたが、この作品は、その思想を応用し、インターネットに代表されるコンピュータネットワークを、広大な宇宙空間に見立て、サーバコンピュータに接続された複数のクライアントコンピュータを、遊星として仮想の宇宙に配置します。
     
  • ケプラーの「惑星の音楽」

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     神の創り給うた宇宙の調和を信ずるケプラーは、ピュタゴラスの「数がすべてのものの源である」という考えを宇宙構造論に適応し、さまざまな神秘的な宇宙観を展開しています。
    「惑星の諸運動には音調が表示されている。」
     ケプラーは、太陽系の公転軌道を惑星が回ることで、弦楽器を奏でるように、音楽が奏でられると考えていました。
     ケプラーは、音楽と天体運動の法則とのあいだに共通する法則を見い出そうと試み、水星から土星までの6惑星の近日点と遠日点における単位時間内の移動角度の比を計算してそれぞれの惑星に音階を割り振っています。(厳密には、音階ではなく、連続的に変化する音。)太陽の周りを回る惑星は、太陽から遠く離れた位置では、最も遅い速度に、太陽に近い位置では、速い速度になり、この速度の増加と減少をケプラーは音程の上昇と下降とに対応させています。例えば、金星は離心率(軌道の円からのずれ)が小さく軌道が円に近いので、音程の変化が特に小さくなります。
    惑星 音階
    水星 A3 B3 C4 D4 E4 F4 G4 A4 B4 C5 A4 E4 C4 A3
    金星 E4 E+4 E4 (+は4分の1)
    地球 G3 Ab3 G3
    火星 F3 G3 A3 Bb3 C4 Bb3 A3 G3 F3
    木星 G2 A2 Bb2 A2 G2
    土星 G1 A1 B1 A1 G1
     6つの惑星が出す6つの音は、ほとんどの時点で、不協和音を形成することになりますが、ケプラーは、6つの音が、長い年月のうちの数回は協和音を形成すると考え、この一連を「惑星の音楽」と表現しました。 

     ネットワーク・プラネット・アンサンブルは、この考えを用いて、仮想宇宙空間の水星・金星・地球・火星・木星・土星の6惑星に、ケプラーの「惑星音階」を割り振って、常に宇宙の和音が聞こえるようになっています。

     
     
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    Johannes Kepler(ヨハネス・ケプラー):

    1571年12月27日、ドイツ、ワイル生まれ。
    「ケプラーの第三法則」を発見。貧乏な星占い師でもあった。
    (ケプラーは、山羊座の原型であるバビロニア神話の魚山羊座ですが、奇しくも作者であるも魚山羊座です。)
    参考文献:
    「ケプラーと世界の調和」共立出版株式会社
    「ケプラーの夢」講談社学術文庫
    「数学を創った人たち」国土社
    「音楽研究所」
    http://www.asahi-net.or.jp/~HB9T-KTD/music/musj.html